※2019年12月3日のブログ記事の再掲です

こちら、のっしのっしと歩く姿が麗しいグリーンイグアナのアロちゃんです。
二ヶ月前からの食欲不振を主訴に来院されました。
診察台に乗って腹部触診をすると、お腹にポコポコとした感触が…。
確認のためレントゲンを撮ると、お腹にたくさんの卵が映り、いわゆる卵詰まりと診断しました。

飼主様と相談のうえ、初期は内科療法を行っていたのですが、治療に反応せず、だんだんと全身状態も悪くなってしまったため、手術で卵をとることになりました。


手術の前に、まず点滴を入れます。
イグアナは鱗があるため、血管に針を入れるのは至難の業です。そこで、骨髄留置と言う、骨の中に点滴を通す方法を実施します。
アロちゃんは膝から太ももの骨に向かって点滴を入れました。

麻酔がかかって手術前のアロちゃんがこちら。
この時点ではお腹はパンパンです。

手術で取り出した卵巣と、卵入りの卵管がこちら。
爬虫類には、哺乳類の子宮に相当する器官はないため、卵はこんな感じで卵管のなかにとどまっています。
なんとアロちゃん、40個以上の卵を抱えていました!

術後のアロちゃんがこちら。まだ麻酔から覚めていませんが、心電図等のモニターを見ながら覚醒を見守ります。
お腹の大半を占めていた卵がなくなり、ぺっこりスリムになりました。


意識が回復してからもICU内で温度と湿度管理をしながら術後点滴を流していきます。

アロちゃんは覚醒の状態も良好で、当日のうちに食欲も回復したため、スムーズに退院できました。
術後の自宅療養もとても順調で、二週間後には抜糸ができました。まだ体重の回復までは時間がかかりますが、全体的な状態が極めて良好なため、治療終了としました。
卵巣と卵管を全てとってあるので、今後生殖器系の疾患にかかることはありません。
今頃おうちをのっしのっし闊歩し、大好きなお野菜をモリモリ食べてくれていることでしょう。
大変な手術だけどよく頑張ってくれました。元気でね!アロちゃん!

獣医師 伊従